大量生産が引き起こす環境問題の現在|ブランドの取り組みの変化

ファッション, コラム

大量生産は、大量消費とさまざまな環境問題を引き起こします。 
特にアパレル業界の主流は大量生産で、この問題を深刻化させてきました。
しかし、最近は生産者と消費者が問題意識を抱くようになり、大量生産・大量消費の流れは徐々に変わりつつあります。
「安く早く」というメリットを享受するよりも、地球や人に優しい商品を選択したいという意欲が高まっているのです。
今回は大量生産が引き起こした環境問題の現在と、ブランドの取り組みの変化について考えていきます。

大量生産が引き起こした環境問題とは?

大量生産が引き起こした環境問題は、大きく分けて3つあります。

  • 生産過程で生じる環境への悪影響
  • 労働者への身体的負担
  • 大量のゴミの増加

大量生産には、多くの資源が必要になります。
効率よく生産することが優先されるので、身体に悪い化学素材を使ったり労働者へ無理な負担をかけたりすることが当たり前になってしまっているのが現状。
大量消費されたものが、大量のゴミを生んでいるのも深刻な問題です。

生産過程で必要になる大量の水と農薬

洋服に使われるコットンの原料「綿花」の栽培には、大量の農薬と水が必要です。
大量生産で栽培する綿花の数は膨大なので、農薬は周辺環境や生産者に大きな悪影響を与えます。

そこで注目されているのが、農薬を使わない「オーガニックコットン」。
人と環境に優しい素材ですが、生産にはコストと手間がかかるので大量生産には向いていません。
販売価格も高くなるので、まだ消費者には浸透しておらず、栽培の量も全体の1%未満です。
人と地球に優しい天然素材の商品を消費者が進んで選択するようになることが、環境問題の解決法の一つになります。

化学素材が引き起こす労働者への影響

化学素材が引き起こす労働者への影響は深刻で、毎年数千万人が健康被害を訴えています。
被害者の多くは、発展途上国の貧しい人たちです。
健康被害だけでなく、不正な安い給料と待遇で過酷な長時間労働を強いられているという問題も。
この問題を解決するには、企業が労働者を正当な環境と待遇で雇うことが求められます。

そのためには、大量生産・大量消費が主流の現状を変えていかなくてはいけません。
海外の労働者が苦しみながら作った商品を購入してもいいのか、私たち消費者の問題意識が問われています。

世界規模でゴミが増加

大量生産された商品は安いのがメリットですが、品質は低い傾向にあります。
安くて品質の低い商品は大切に扱われなかったり、長く使うことが出来ずにゴミとして捨てられてしまうのです。
大量生産・大量消費によるゴミの増加は深刻で、世界規模で問題に。

ゴミの増加は、環境破壊に直結しています。
毎日ゴミの処理のために広大な土地が奪われ、焼却による二酸化炭素の発生量も増加を辿る一方です。
ゴミの増加を食い止めるには、1つのものを長く大切に扱う価値観や、リサイクルの工夫が必要になってきます。

大量生産の環境問題を解決するためにブランドが行なっている取り組み

大量生産による環境問題は深刻ですが、最近は企業と消費者の意識が徐々に変わってきています。
企業のずさんな生産管理が明るみになったり労働者たちが不正を訴えたりしたことで、問題に向き合うべきだという意識が広まったのです。
実際に、企業やブランドが行なっている取り組みについてご紹介します。

レジ袋や梱包材の脱プラスチック化

大量生産で生まれた商品には、膨大な数のレジ袋や梱包材が必要になります。
これまでのレジ袋の主流は、プラスチック製のビニール素材。
耐久性があり便利ですが、プラスチックは深刻な海洋汚染を引き起こします。
日本国内でも中国への輸出が禁止になったことによって、たちまちゴミの行き場がなくなり、埋め立てをするにも土地が足りないなど深刻な問題に発展しています。

ファストファッションで有名なH&Mは、レジ袋の素材をプラスチックから紙製に変更すると発表しました。
国内では既にほとんどの店舗で実施済みで、1枚20円にて販売されています。
レジ袋が有料になると消費者の負担は少し増えますが、この利益は環境問題の解決に取り組んでいる団体に寄付されます。
企業と消費者が一緒になって、環境問題の解決に取り組める仕組みができてきたのです。

また、政府もプラスチックごみ問題に本腰を入れつつあり、最近ではスーパーやコンビニでのレジ袋廃止やレジ袋有料化を促す施策を進めています。政府がコンビニ大手の代表を招いた有識者会議もニュースで話題になりました。
こうした動きを受けて、セブン&アイHDは今年5月に2030年までにプラスチック製レジ袋を全廃する計画を公表しました。今年4月からはセブンイレブンの横浜市内の店舗でプラ製の袋と紙袋を客に選択してもらう実験を開始するなど、具体的な動きも出始めています。

回収した古着のリサイクル

ゴミの増加を防ぐには、リサイクル活動が必須です。
日本の大手アパレル企業ユニクロは、「全商品リサイクル活動」を行なっています。
ユニクロや姉妹店のGUで購入して着なくなった洋服を店舗に持って行くと、古着として回収してくれる仕組みです。
回収された古着は発展途上国の人たちへ届けられたり、工場での資源として再利用されます。
世界的に大きな企業が、このような取り組みを積極的に行ない始めたことは素晴らしい発展です。
このように、消費者が手軽にリサイクル活動に参加できるような取り組み作りをすることが、今後の企業の課題になります。

ハンドメイド品の推奨

大量生産・大量消費の流れを変えるには、消費者の商品に対する価値観の見直しも必要です。
1つのものを長く大切に扱うことは、環境問題の解決だけでなく健全な精神の育みにも役立ちます。
自分の購入した商品に愛着を持つことで、磨かれる感性もあるのです。

私たちが展開しているブレスレット「Vanacci」も、英国の職人が1つ1つ手作りで製作しているハンドメイド品です。
価格は10,000円前後と、ファストファッション店で販売されているアクセサリーやブレスレットに比べるとやや高価ですが、世界に一つだけという”特別感”があります。
品質が高くデザインにもこだわりがあるので、愛着を持って日々身につけていただけることを確信しています。

ハンドメイド品の扱いは、世界中で再熱中。
大量生産によって生まれた商品にはない魅力をしっかり伝えていくのも、企業の果たすべき役割ではないかと考えています。

大量生産による環境問題を解決するために消費者としてできること

世界中の企業が環境問題に向き合い始め、前向きな取り組みを開始しています。
消費者として企業の取り組みに参加するのは素晴らしい試みですが、自分たちで進んでできることもあります。
今日からできる、消費者としての取り組みをご紹介します。

新品にこだわらない

古着やリサイクル品を購入することは、それだけで環境問題に対して前向きな取り組みになります。
新品の魅力は捨て難いものですが、古着には見知らぬ誰かのストーリーを感じられるという浪漫があります。
持ち物の全てを、リサイクル品にする必要はありません。
大切なのは「新品へのこだわり」を捨てて、新たな価値観や視点を持ってみることです。
友人同士で使わなくなったものを交換し合うということから始めてみるのも、おすすめです。

自分で製品を再利用する

不要品を回収している企業や団体に持ち込むのもいいのですが、自分で手軽に再利用するという手段もあります。

  • 着なくなったTシャツを切ってふきんにする
  • リメイクしてオリジナルの洋服を作ってみる

あなたのアイディア次第で、新たな再利用方法は無限大になります。
再利用品は誰かにプレゼントしたり、バザーに出品したりと人に喜んでもらえる使い方もできます。
自分なら不要品をどういう形で再利用できるか考えてみるのも、とても楽しい時間です。

本当に必要なものだけを購入する

大量生産が主流になってから、欲しいものは何でも手軽に購入できるようになりました。
しかし、「安いから」という理由だけで購入したものに愛着は湧きにくいので、結果すぐに手放すことになります。
環境や労働者に大きな負担をかけて生産した商品はすぐに処分されることになり、さらなる悪循環を生むことに。

このサイクルを止めるには、やはり私たち消費者の意識改革が必要です。
購入をする前に、「この商品は本当に必要なのか、長く愛着を持って使えるのか」そういったことを考える必要があるのです。

大量生産が引き起こす環境問題を知って自分ができることをする

大量生産が引き起こす環境問題を解決するには、まずは現状を知ること。
そして、問題から目を背けないことが大切です。
1人1人の意識改革は、やがて大きな時代の変化に繋がります。
どんなに小さなことからでも構いません。
商品を購入する前に、少しだけでも環境問題を意識して、前向きな選択肢を増やしてみてください。

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